碑「うぶごえ」であり、一つは聖師揮毫の「大本教旨」碑である。
かって「この碑がたつとまもなく大きな事件がおこり世界的に発展
する」と予言し、「今後いろいろ世の中におこってくることは、神
界の経綸が実現の著についたこと」だとのべた王仁三郎の声があざ
やかによみがえってくる。いま目の前にみる碑は昭和二十七年に再
建したものだが、最初の碑は昭和六年九月八日に建てられた。その
十日後には満州事変がおこり、やがて第二次世界大戦から日本の敗
戦へと泥沼の歴史がつづられたのだが、大本の教えと神の経綸を象
徴し、印象的である。
 碑面をたどれば神声碑には「三千世界一どにひらく梅の花もとの
神世にたてかえたてなおすぞよ。すみせんざんにこしをかけ艮の金
神まもるぞよ」とあり、また教旨碑には「神は万物普遍の霊にして
人は天地経綸の大司宰なり、神人合一してここに無限の権力を発揮
す」と刻まれているのがよみとれる。この簡潔な宣言のなかには、
立教の根本精神である民衆救済の理念と人としての使命が明示され
ている。一語々々、しずかにくちずさめば新たな感動が肚のそこか
らわきあがる。
 本宮山は鶴山とも、また円山ともよばれ、綾部をとりかこむ連山
の中央にあって蓮華台をなす丘である。頂上には「月山不二」が半
円形に土をもりあげてきづかれ、延暦二十一年の富士大爆発のさい
噴出したといわれる霊石をおき三ツ葉の松がうえられている。旧七月
六日の夕から七日間神集祭がおこなわれ、天地の神々がつどい一年
間の世界のしぐみを定められる重要な神事とされている。山の一角

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