しまった。それでも、ナオの苦情にたいして大神は「今日は大きな
仕組ができたのであるぞよ。世界の仕組のひな型が一つ一つ成就し
てゆくのであるから、ナオよよろこんでくれ」といい相手にされな
かったという。大本には「型」の信仰があり、大本にあったことは
日本に、そして世界にあらわれるとされ、神はまず自己の意志を「綾
部の大本」にヒナ型として実現されると信じられている。だから開
祖の紙屑買いについても、くらしのためとか修行というだけでなく
艮金神の仕組みの大切な原型として把握される。
 宇宙の主宰神である金神はきびしい善一筋の正しい神であった
が、悪神・たたり神とされて押しこめられ、金神の系統の神々も悪
神としてちりぢりばらばらに追いはらわれて世に落とされた。そし
てながい月日がすぎさり、世の親神はかげから守護していたがその
間に地上は乱れきってにっちもさっちもいかなくなった。このまま
では泥海になるよりしょうがなくなったので、艮金神がおもてにあ
らわれ、悪神の世をきりかえてもとの神世にかえさせることになっ
た。
 そこでまず世に落とされている神々を表にだして、三千年余りての
仕組どおりにされることになる。これが他の神話体系にはみられな
い大本固有の「艮金神の隠退再現説」であるが、その仕組の大切な
原型として神命により開祖が紙屑買いをされたので、世におとされ
ていた神々、ちり紙のように世にすてられていた神々をすくいあげ
新しいカミにすきあげて諸国に新しく神々をまくばられる型であり、
そして正しいもとの神の世に立替え立直される基礎的経綸であると

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